-ちょっと語らして-

1、なぜ自転車?

まずは文句なく楽しい

 「自転車旅は、終わる事のない厚い一冊の本を、頭脳では無く、身体と魂と全霊によって読んでいくことだ」と言ったのは、自転車文学研究家の白鳥和也氏です。この「自転車に乗ると言う事は終わる事のない物語を心と身体で読み続ける事」と言う表現は、自転車乗りなら文句なく共感出来るはずです。

最近はエコロジーや地球温暖化防止、省エネ、健康の観点から自転車がクローズアップされています。確かに私の周りでもピカピカのMTBやクロスバイクを良く見かける様になりました。
でも、環境とか健康の為だけに夏の炎天下や冬の寒風の中で自転車に乗るのであれば、それは苦行でしかありませんし、たぶん長続きはしないでしょう。
自転車を始めるきっかけは人それぞれでしょうが、結局永く続いている人は、理屈抜きで自転車を楽しめている人だと思います。

私が自転車を始めたきっかけは中年太り対策の早朝サイクリングでした。昔から寝起きが悪いので有名で、小学生の時にはラジオ体操にもまともに出た事がなかった私が“早朝”と名のつく事をするとは自分でも思ってもみませんでした。
夏から初めて、せめて秋までは続けようと思っていましたが、結局真っ白に霜が降りる冬になっても走り続け、気がつけば10数年経っていました。
もし体重が落ち始めるより先に自転車に乗る事が楽しくなっていなかったら、すぐに挫折していたでしょう。
今では、早朝サイクリングは健康のためというよりも、いつでもツーリングに出られるように脚を作っておく方に主眼が移っています。
20kmの早朝サイクリングから始まって、町内一周30km、隣町まで往復50kmサイクリングとだんだん距離を伸ばして行き、バテながらも始めて100kmを越えた時の感激は今でもはっきりと覚えています。
今まで車でしか行く事が出来ないと思っていた所へ自分の力で行く事が出来、車でしか越える事が出来ないと思っていた峠を自分の力で越える事が出来ると分った時、少々大袈裟かもしれませんが、世界観が変わる思いがしました。
その後、走る事が主目的のツーリングだけでなく、レストアや旧街道探索などの距離にとらわれないテーマ型の自転車の楽しみ方もあることも知り、ますます自転車の楽しみが広がっています。
私にとって環境と健康は、自転車そのものを楽しんだ後に付いて来るおまけみたいなものです。

子供の頃、自転車に乗れるようになって隣の町まで冒険に出かけた時のあのワクワク、ドキドキした気分を再び味わいませんか!

思えば遠くへ来たモンだ

カラダに良い-たとえば早朝サイクリング

 「鶏鳴に起きざれば、日暮れに悔いあり」という言葉は南北朝時代の武将の楠木正成が、「あなたは何故早朝サイクリングをするのですか?」という質問に答えたものです。と、言うのは嘘ですが、「早起きしなければ、夕方に悔いを残しますよ。」と言う言葉の意味はあらためて説明する必要はないでしょう。

たまに「痩せようと思えば自転車なんかじゃダメでしょ、走らなきゃぁ。」とか言う人がいますが、適切な強度で運動をすれば手段はなんでもOK! むしろ自転車は膝などを痛めるおそれも少ないですし、初心者の人でも無理なく比較的長時間続ける事ができるのでお勧めです。

私の場合、朝6時頃スタートして1時間ぐらい走ります。最初に始めた時は11キロぐらいの距離を時速20キロ以下でゆっくりと走っていました。慣れてくるに従って徐々に距離を延ばして行き、今では20キロぐらいの距離を1時間で走っています。
走る時はハートレートモニターを付けて有酸素運動の範囲内で走れるようにペース管理をしています。どのくらいのペースで走るのが良いかと言う事については、脂肪燃焼、持久力アップ、体力増強など目的によって違ってきますし、目標とする心拍数の計算方法もいくつかありますが、私の場合は脂肪燃焼とツーリングの為の持久力アップが目的なので、「180公式」を参考にしています。理由は、計算方法が簡単だから、というだけです。この公式で行くと楽に呼吸できるぐらいのペースになります。
冬期はスタートする時はまだ真っ暗です。気温は氷点下の時もありますが、走り出して15分もすると体がほかほかしてきますので意外と寒さは苦になりません。それに冬にしか見る事が出来ない、寒さを忘れるような美しい光景に出会えます。でも、ボトルの水は帰ってくる頃にはシャリシャリに凍って飲めなくなっている事もあります。
走行で気を付けている事はウォーミングアップとクーリングダウンを走りながら時間をかけてやる事でしょうか。15分ぐらいかけて徐々に心拍数を上げていき、最後10分ぐらいかけて心拍数を下げていきます。途中の30分は私の場合は120-130ぐらいの心拍数で走ります。以前は最高150ぐらいまで心拍数を上げていたのですが、オーバーワーク気味になり風邪をひいたときの回復力が落ちたりしたので最近は「180公式」をしっかり守っています。

出来るだけ永く続ける為に、自分に早朝サイクリングについての厳しい戒律を課しています。それは、
1.3日以上続けて乗らない。
2.酒を飲んだ翌日は乗らない。
3.雨が降っている、または雨上がりで路面が濡れている時は乗らない。
4.睡眠時間を充分にとれなかった時は乗らない。
5.風邪をひいていたり、疲れている時は乗らない。
と、言う事です。どうです厳しいでしょう(笑)これを守るとだいたい週に4-5日ぐらいのペースになります。細く永くです。

コースは飽きてくると適当に変えます。住んでいる所が田舎なもので海沿いコース、川沿いコース、冬用、夏用、コース選びには苦労しません。セリまっ最中の漁港の横を通ったり、コスモスが咲き乱れる土手の間を抜けたり、早起きが苦手だった私が、早朝サイクリングを続けていられるのもコースの魅力に助けられているのかもしれません。都会と違って朝は車もあまり走っていませんしね。

山口湾の冬の朝焼け。寒ければ寒い程美しくなります。
冬期の晴れた無風状態の朝、池から蒸気霧が上がって来て幻想的な光景が見られます。
ハートレートモニター
胸にトランスミッターが付いたベルトをまいて、デジタル時計型のレシーバーで心拍数をモニターする。心拍数のターゲットゾーンを設定でき、ターゲットゾーンを上回るか、下回るかするとアラームが鳴る。
ついつい調子に乗ってスピードを出し過ぎて、アラームを鳴らしてしまう。
ターゲットゾーンをキープするのは意外と難しい。
180公式
マフェトン博士が考案したトレーニング方法である「マフェトン理論」で提唱された運動強度の計算方法。
計算方法は簡単で、”180-自分の年令”を基準に、自分の状況に応じて数値を加減して自分の最大エアロビック心拍数を設定する。そして最大エアロビック心拍数と最大エアロビック心拍数から10拍ひいた心拍数の範囲内で運動をする。
最大エアロビック心拍数の求め方
A
病気にかかっている、または治ったばかりで、投薬を受けている。
180-年令-10
B
怪我をしたか、トレーニングやレースでの成績が下がりつつある。風邪をよくひく、あるいは、アレルギーがある。
180-年令-5
C
過去2年間、あまり問題なく、うまくトレーニングができている。あるいは風邪を1年に1、2度しかひかない。
180-年令
D
2年以上大した問題もなく、うまくトレーニングできている。また、怪我もなく、競技での成績ものびている。
180-年令+5
環境にも良い
-
地球温暖化が秋穂地域におよぼす(かもしれない)深刻な影響-
 「真の文明は、山を荒らさず、川を荒らさず、村を破らず、人を殺さざるべし」と言ったのは、明治時代に足尾銅山の鉱毒事件に苦しむ人々の為に立ち上がった田中正造氏です。100年以上を経た今でもこの言葉の重さは変わっていません。むしろ益々重みを増している、言っても良いでしょう。

私が住んでいる町は自然環境に恵まれています。海沿いの道を走っていると、一台の車とすれ違っただけで辺りが急に廃ガス臭くなります。それぐらい空気が澄んでいるのでしょう。ただ、それだけに地域の人達の環境問題に対する危機感が薄い樣な気がします。
しかし、実は地球温暖化は秋穂地域にも深刻な影響をもたらす可能性があるのです。
環境省の資料によると、このまま地球温暖化が進むと西暦2100年には“最悪の場合”海水面が88cm上昇する可能性があると言う事です。
海に面した秋穂地域で海水面が88cm上昇すればいったいどうなるでしょうか。GoogleMapとNASAの地表高データを使って作られたFlood Maps(海水面上昇被災地図)によると1m上昇すると秋穂はこうなります。(MacなどGoogle Mapを見られない環境の方は下の画像をご覧下さい。)
要するに秋穂地域の平地のかなりの部分(江戸時代以降に開作された土地)はほどんど海抜0m以下に戻ってしまうと言う事です。もちろん堤防を築くなどの対策によって水没は免れるでしょうが、海抜0m地帯における高潮被害の危険性はハリケーン「カトリーナ」による米国南部の罹災状況を見るまでもないでしょう。
それに美しい砂浜が消滅し、海岸線がすべて防波堤で封鎖されてしまった秋穂を子孫に残したくはありません。

自転車と環境について語りたいがために秋穂の一部を水没させるのもどうかと思いましたが(^^;)、すでに気温と海水面が上昇し始めている事は事実です。そして、もし地球温暖化の要因が人為的なものだとすれば、やはり人の手(と足)でくい止めなければならないのではないでしょうか。

(ただし、以上の予測はあくまで“最悪の場合”であり、海水面や気温の上昇に関しても予測されている数値にはかなりの幅があります。また、地球温暖化とCO2の因果関係に懐疑的な意見も一部にある事も付け加えておきます。)

水位が1m上昇すると…、画像の上にカーソルを合わせて下さい。
(Flood Mapsを参考に製作しています。)
-たとえばエコサイクル・マイレージと言う取り組み-
 英語のことわざに「大きなカシの木も小さなドングリから育つ」と言うものがあります。始まりは小さくても継続すればやがては大きく立派に育つという意味でしょうか。

エコサイクル・マイレージとは、自転車が環境と健康にどれだけ貢献しているかを数値で表わそう、という取り組みです。自転車にトリップメーターを取り付ければ誰でも無料で登録出来ます。参加者がエコサイクル・マイレージのサイトに走った日の走行距離と走行時間を申告すると、消費カロリーと同じ距離を自動車で走った時の換算CO2排出量を計算してくれます。参加者はロードレーサーやMTBに乗った本格的な自転車乗りから、買い物自転車の主婦まで様々です。

ちなみにエコ・サイ開設から2193日の時点で、延べ参加者5353人、積算走行距離875万km、換算CO2排出量2012トン、総消費カロリー1億4374万キロカロリーにのぼっています。
たった5353人でもこの数字です。単純にこの数字を自転車によるCO2削減量と判断する事は出来ませんが、一人の人間がすぐそこのスーパーにいくのに車を使わずに徒歩や自転車を使うようにするだけで、地球全体ではかなりの量のCO2の排出が押さえられるという事を示すには十分な数字ではないでしょうか。
エコサイクル・マイレージ http://ecomile.jp/ 特定非営利活動法人 自転車活用推進研究会

誤解して欲しく無いのですが、私は自動車を一方的に悪者扱いするつもりはありません。自転車には救急車や消防自動車の替りはできませんし、健康上の理由などで自転車に乗りたくても乗れない人もいます。秋穂みたいに、公共の交通機関と言えば一時間に一本来るか来ないかのバスしかない地域では車は生活に欠かせません。
それに、自転車にしても、製造過程では多分かなりの量のCO2を発生させているはずですし、遠く離れた場所で製造された自転車を山口県の田舎で買う事が出来るのも車のおかげです。要は上手に使い分ける事が必要だと言う事です。

地球温暖化は地球規模で取り組まないと解決できない問題であると同時に、一人一人が今日からでも取り組む事ができる課題でもあります。
せっかく高いお金を出してハイブリッドカーを買っても、徒歩や自転車でいける所に車で行ってしまっては意味がありません。自転車なら楽しみながら環境に貢献でき、おまけにシェイプアップもできて、健康になって、言う事なし!です。

いつの日か、「ただ好きだから自転車に乗っているんだよ。」とだけ言っていれば良い日が来る事を祈っています。

2、自転車始めて何かいい事あった?

ありましたよ。
某メーカのサイトからの受け売りですが、ドイツのことわざに「トラック一杯の薬より、1台の自転車。」というのがあるそうです。
いい事その1
私の場合、まず体重と体脂肪率、BMI指数や、血液検査の数値、特に血中コレステロールや学生時代からの要注意項目だったγ-GTP値がなんとか標準値内に納まりました。(証拠はここをクリック)
色々なダイエット法がありますが、健康的に、かつ経済的に痩せるには有酸素運動が最適だと思います。ただ、「有酸素運動で痩せたら簡単にはリバウンドしない」と言うのは私に関してはあてはまりません。もともと太りやすい体質なので、油断して間食などをするとすぐ体重は増えようとします。もし自転車に乗っていなかったら今頃どうなっていたか、と考えるとちょっと恐いです。私みたいな中年になると運動はしていても日頃の摂生は欠かせません。

いい事その2
早寝早起きの習慣が付きました。それに、日常生活で身体を動かすのが億劫でなくなりましたし、身体も軽く感じるようになりました。
たまにボーリングやソフトボール等のスポーツをしても簡単には筋肉痛になりません。なったとしてもその日の内か、遅くても翌日には筋肉痛が始まり、軽度ですみます。“1日置いて筋肉痛が始まる”という現象とは今の所無縁です。
筋肉痛は傷んだ筋肉が回復する過程で起きる現象ですから、回復力が向上したのでしょうね。

いい事その3
三度の食事が美味しいですね。朝食の時から食欲があります。子供の頃に感じていた食事前のあの“心地良い空腹感”を味わえますよ。ただ調子に乗って食べ過ぎないように注意が必要です。

いい事その4
趣味が増えました。健康の為に始めた自転車ですが、ツーリングレストアなんかも始めてこんなサイトも作って、もう趣味の領域に入ってしまいました。
趣味は?と聞かれて即座に答えられる物があると言う事は嬉しいものですね。ただ「自転車」と言うと防府競輪通いと勘違いされます(笑)

いい事その5
それとストレス解消になります。自転車を漕いでいる間は日常生活の中の悩み事とか、嫌な思い出とかをきれいさっぱり忘れているんですよ。ペダルをまわす事、前へ進む事しか考えていません。一日の内にこういう時間が一時間でもあると言う事は精神衛生上いい事ではないかと素人なりに思います。
それに、人力で風を切って時速30キロ以上で突っ走る、というのは快感ですよ。

リビングの一画がこんな状態だとお客さんが引きます。
○○とサイクリストは高い所に登りたがる

3、いい事ばかり?

とは言い切れません。こければケガをしますし、被害者になったり加害者になったり常に交通事故に遭う危険がつきまといます。また、なぜか「変わった人」に見られているような気もします。

「自転車乗りが、その『本気度合い』を問われるのが真冬だと、わたしは思っている。」と言ったのは、作家で自転車乗りでもある山本一力氏です。都市部では通勤地獄、交通渋滞、健康、エコロジー等の問題から自転車が見直され、15-20Kmぐらいまでの距離なら真冬でも自転車通勤する人が増えて来ています。
しかし、わが町みたいに自然環境に恵まれており渋滞にも無縁な田舎町では、真っ白に霜が降りた真冬の朝に、通勤、通学でもないのに早朝サイクリングしている人間は変わった目で見られている事は間違い無いでしょう。自転車に乗っていると顔見知りのご老人から「あんた競輪もするんかの。」とも言われた事もあります。こんな貧弱な脚の競輪選手はいませんて。
え、「お前はなぜ自転車通勤じゃなくて早朝サイクリングなんだ」って? 勤め先まで自転車で1分ぐらいで着いちゃうんですよ。不便な田舎で暮らしているんですからそれぐらいのメリットがあってもイイっすよねぇ。

変人に見られるぐらいならまだ良いですが交通事故だけは避けなければなりません。
冬場の早朝サイクリングは日の出前の暗闇の中を走る事になります。この時期に特に気を付けている事は「極力車や歩行者と出会わないルートを走る」という事と「極力自分を目立たせる」と言う事です。
このサイトで紹介している早朝サイクリングコースをご覧になった方から戴いたメールに、「コースの写真にほとんど車が写っていないのがうらやましい。」とありました。確かに田舎ではそういうコースの選び方が可能です。冬場は暗くて周りの景色などは見えませんから、国道や県道などは避けて、なるだけ車の通行量や歩行者の少ない道を選んで走っています。しかしそうなると、周りに民家も街灯も無い漆黒の闇の中を貧弱な自転車用のライトを頼りに走る事になるので集中力は欠かせません。

アメリカではリフレクター(反射板)は自転車の前後、側面(前後輪)、ペダルに装着が義務付けられています(日本では後方のみ)。自分の身を守る為にはとにかく自分を目立たす事が必要です。私の自転車の場合は前方にはLEDを使用した白色系の前照灯、後方にはリフレクターが4箇所(サドル下、靴のかかと、ウインドブレーカーの腰の辺り)と赤色LEDの点滅灯、それに特殊な反射素材を織り込んだサイクリングパンツを使用しています。ドライバーがちゃんと前を向いて運転している限りはかなり後方からでも発見できるはずです。
しかし、実際に暗闇で走っていてドキッとさせられるのは、車よりむしろ、闇に紛れるようにして歩いている歩行者や、無灯火、右側通行で向かってくる自転車なんですよね。自転車の地位を向上させる為には、まず自転車乗りのマナーを向上させる事が必要だと思います。

あっ自転車だ!
(うーん、こんな感じで光っていたのか。)
なんかチカチカしているぞ